国内

国会議員がAIで代替可能 忖度や裁量のない公平な国に

21世紀は答えのない時代(大前研一氏)

 今後、人間の仕事の多くはAI(人工知能)に取って代わられる。人間にしかできないと思われていたクリエイティブな領域もAIやロボットに置き換えられていくのだ。行政を司る役人はもとより、「立法」が本務たる国会議員さえ、その例外ではない、と大前研一氏は指摘する。

 * * *
 国会議員の本務である「立法」は純粋にクリエイティブな仕事だが、自力で法案を作ることができる国会議員はほとんどいない。その理由は、そもそも能力がない上、日本の場合は明治時代からの法律がほぼ全部廃止されずに残っているため、新しい法案を作ろうとすると、古い法律の邪魔をしない領域のことを緻密に定義していかねばならないからである。

 したがって国会議員は衆議院法制局や参議院法制局に全面的に手伝ってもらわない限り、法案を作ることができないのだ。しかも実力は行政機関である内閣法制局のほうが上だと思われているので、実際には行政府が議員立法の手伝いをすることが多い。

 ならば、今ある法律をすべてコンピューターに入力し、AIに法案作りを任せてしまえばよい。そうすれば、新しい法案が既存の法律と矛盾するかどうかはすぐにわかるし、そもそも法律が存在しない領域を発見することもできる。また、他の先進国の法律も入れてAIにディープラーニングさせていけば、日本でも有効に機能する新しい法案のアイデアを見いだすことができるだろう。結果、法案を作ることができない無能な役立たずの国会議員は全くいらなくなるのだ。

 オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の予測によれば、いま人間がやっている仕事の約半分は、10~20年後にAIやロボットなどの機械に取って代わられるという。そうなったとしてもクリエイティブな仕事は残ると見る向きは多いが、もしかすると、それは間違いかもしれない。なぜなら、いまや小説の執筆や作曲などもAIのディープラーニングによって可能になりつつあるからだ。

 進化を続けるAIが役人や政治家の仕事を奪っていけば、日本は「忖度」や「裁量」の余地がなくなり、もっと公平公正で合理的かつ効率的な国になるだろう。

※SAPIO2018年1・2月号

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン