開かれた会見でも宇野選手の言動に会場が沸いた。メダリストになったことを聞かれると「何も変わらない」。「銀メダルを誰にかけたいか?」と聞かれても、一瞬、「え~っ」と考え込んだものの「かけたい人がいればかければいい」と、質問したリポーターにはにかむように笑いかける。英語の通訳が入った時はウトウトしかけたが、気がつくと恥ずかしそうに照れ笑い。某局のインタビューでも「魔物はいたか?」と聞かれ、「よくわからなかった」と左目をしきりに掻き、オリンピックは1つの通過点と話す。その言動のどれもが人々を驚かせていた。

 報道陣だけでなく、見ている人々が彼の言動に驚いた理由は「フォールス・コンセンサス効果」だ。人は行動や意見について話す時、相手も自分と同じように考え行動すると思い込みやすい。五輪のメダリストたるもの、こんな風に感じて、こう考えていたのではと、自分の思い込みとこれまでのメダリストの言動から、勝手に想像して判断しているのである。ところが、宇野選手はそんな想像や判断を次々と覆していく。つまり、フォールス・コンセンサス効果が大きいのだ。この効果が大きい相手に対して、人はその人を自分とは違う特別な存在として見るという。

「今シーズンはまだ終わっていない。また練習に取り組んでいきたい」と、スケートの話になると真剣な表情に変わり、その顔から笑いが消えていく宇野選手。五輪に魔物はいなかったが、宇野昌磨という魅力的でユニークな魔物の存在が明らかになった。

撮影/雑誌協会代表取材

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