運行予定は非公表だが、沿線には多くの人が(撮影:丹羽敏通)


「陛下・皇族の安全確保のため、運行時は厳戒の警備態勢が敷かれ、ダイヤは非公開です。窓には防弾ガラスが使われていますが、内部の設計などを含めた詳細は一切明らかにされていません」(白川氏)

 運行に際しては綿密な計画が立てられ、特別な配慮がなされる。

「国鉄時代は、あらゆる規定が書かれた運転の手引が鉄道関係者に配布されていました。陛下にご負担がかからぬよう列車の揺れは最小限に抑えられ、停車位置が3センチ以上ずれることはなかったようです。

 今でも白い制服を着た駅長らが敬礼してお見送りやお出迎えをし、技能優秀な選りすぐりの運転士が運転を担当します。お召し列車は、まさにオンリーワンの列車なのです」(白川氏)

 平成に入ると、飛行機や新幹線を使うことが多くなり、菊の御紋や国旗が掲げられたお召し列車を目にする機会も減少する。「宮廷ホーム」も、2001年を最後に利用されていない。そこには、国民の負担になることは控えてほしいという今上天皇の意向もあった。皇室ジャーナリスト・山下晋司氏が言う。

「陛下のお考えだけで決まることではありませんが、大きな費用が生じることや、国民の迷惑になることはできる限り避けたいという基本的なお考えが影響しているのでしょう」

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