国内

増える高齢者クレーマー、悩むサービス業の若者たち

 時代は変わった。値段に対応したサービス提供にとどめなければ、どんな産業も長続きしないと世の中は理解しつつある。ところが、その変化についてゆけない彼らは、自分たちが満足するサービスの「お返し」をしない、自分の孫のような世代の店員たちに対して苛立ち、二言目には「こっちは客だ」「最近の若い者」「ゆとり世代」とくる。

 人口ボーナス期に働き、常に最大多数側の世代であった彼らは、個人差はあるものの、他の世代の言い分をきく習慣がない人が多い。そして若者の側も、異世代間交流をあまりしてこなかった時代に育っているため、彼らの暴言を「年寄りのたわごと」と受け流す、よい意味でのいい加減さを持てずにいる。

 見ず知らずの客に、理不尽にも罵詈雑言を浴びせられるなどとは夢にも思わなかった若者たちは、接客業に嫌気がさしたり、絶望し業界を去っていくこともある。こうして一部の傍若無人な中高年のせいで、「老人嫌い」「中年嫌い」の若者が産み出されていくことは、若者にぜひとも頑張ってもらわないと国が沈む、という我が国の現実の中で決して見過ごせない問題であることはいうまでもない。

 前述のアパレル店店員は、絶対に言えないことだ、と前置きしつつ「今の世の中の仕組みを理解していない」中高年客に対し、次のように吐き捨てた。

「うちにみたいな量販店で買っているくせに……。お金もないのにサービスを要求するな、って。そのくせ老人を敬え、大切にしろ、挙げ句の果てには”最近の若者はなっていない”ですからね……。高齢者のために、年金だなんだと私たちのお金も吸い上げられている。ほんと、この国はこうやって終わっていくんじゃないかな、と不安になります」

 日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は27.3%、日本人の4人に1人以上が高齢者だ。我が国は特に、世界に先駆け「超高齢化社会」をいち早く迎え「高齢者が社会の中心」という、前例のない生活スタイルを受け入れなければならない。少なくとも最近までは、お年寄りは「大切にすべき」であり「敬うことが当たり前」の存在であった。過去を創ってきた人々であり、お年寄りからは多くの事を学んだのだ。しかし現在はどうか。人生100年とも言われる新時代の到来を前に、新たな老人観と、対処の仕方を考える時代になったのかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン