ライフ

【坪内祐三氏書評】片岡義男が明かす出版社嘱託従業員時代

片岡義男・著『珈琲が呼ぶ』

【書評】『珈琲が呼ぶ』/片岡義男・著/光文社/1800円+税

【評者】坪内祐三(評論家)

 身内誉めに受け取られるかもしれないが、二〇一六年九月に出た佐久間文子『「文藝」戦後文学史』(河出書房新社)はとても内容のある出版文化史だった。私もそのジャンルの専門家を自称しているから、それに関する本を(私家版も含めて)多く読破している。

 そんな私であってもこの本で教えられたことが幾つもある。その内の一つが、あの片岡義男(当時はテディ片岡)が短期間とは言え、河出書房に在籍していたという事実だ。まったく知らなかった。というのは、片岡氏はこれまで自分のライフヒストリーを語ることが殆どなかったからだ。

 その片岡氏がここ数年、私語りをするようになった。この書き下ろしの新刊『珈琲が呼ぶ』(片岡氏の初めての「珈琲エッセイ本」だという)に目を通していたら、河出書房時代のことが登場した。「一九六六年から六八年にかけて、二年ほどの期間、僕は河出書房の嘱託だった」。

 彼を河出に導いてくれたのは『マンハント』や『ハードボイルド・ミステリー・マガジン』という雑誌の編集長をつとめたのち、「新しい雑誌を作りたい」という社長の意向で河出の社員(新雑誌企画室の責任者)になった中田雅久だった。

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン