しかし、『開かずの扉』が放送される11日の夜には、『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』の第7弾が放送されます。つまりフジテレビにしてみれば、「相手の大将格と直接対決する」ということ。視聴率では過去の実績がある分、難しいものがありそうですが、「内容や評判で上回ることができるか」が注目されます。
実際、『ニチファミ!』で放送された『交通事故鑑定人』『空き家、つぶします』『ゲキタイレンジャー』は、どれもVTRの内容が濃く、撮影の技術や手間のかけ方などに「さすが」と思わせるところがありました。
芸能人が不自然に盛り上げるような演出もなく、視聴率こそ振るわなかったものの、視聴者の反応は上々。今後もこの姿勢を貫ければ、徐々に視聴者の信頼を勝ち取り、『ニチファミ』でのシリーズ化に加え、レギュラーに昇格できる企画が発掘できるかもしれません。
さらに、思わぬ追い風が吹いてきました。テレビ東京の『日曜ビッグバラエティ』が「4月から1時間枠に縮小する」というのです。
テレビ東京にとっては、新番組『池上彰の現代史を歩く~Walking through Modern History~』を放送するためであり、強気の番組編成なのですが、フジテレビにとっては「長年に渡って2時間特番をじっくり見てきた視聴者を独占できる」チャンス。もちろん『日曜ビッグバラエティ』が1時間に凝縮されてパワーアップする可能性もあるだけに、しばらくの間は両者の戦いから目が離せそうにありません。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。