芸能

“女だから”にあがいた柴門ふみ、還暦過ぎたら自由に生きる

還暦過ぎたら「自由に」と語る柴門ふみさん

 かつての女性像は「大学卒業したら地元に戻って当たり前、結婚したら寿退社、子育てに専念し家族を支える」――こんな“女だから”といった風潮があったが、還暦を過ぎたら自由に生きたいと語るのは漫画家の柴門ふみさんだ。柴門さんが考える還暦後の人生とは――。

 還暦を迎えたのは2017年の1月です。『東京ラブストーリー~After 25 years~』(1988年から連載された『東京ラブストーリー』の25年後を描いた作品、小学館)の単行本化を進めていて、とても慌ただしく、還暦だと意識することもなく過ぎていってしまいました。

 むしろ、その前の数年間のほうが「あぁ、もうすぐ60才か…」と思っていましたね。大台というのは、40のときも50のときも、迎えるまでは抵抗するのですが、いざなってしまうとなんでもないんです(笑い)。

“解放された、自由になった”といいう気持ちは、還暦以前、子育てが一区切りしたときに強く感じました。下の子が大学に進学して、就職した数年前、「肩の荷が下りたな」と。同世代の友人の話を聞くと、還暦=定年ということで、社会からリタイアを宣告されているようだと言う人は多いですね。いずれにしても、“責任を果たすべきものがなくなる”ということなんだと思います。子供も独立、ダンナも定年でもう仕事に行く前の朝食作りや身支度なんか気にすることがないんですから。

 女性にとって体がラクになる節目でもあると思います。閉経して、更年期も過ぎて、体の悩みからも解放される。私自身、ホットフラッシュなど、いわゆる更年期障害が重かったので、それがなくなったことはものすごい開放感でした。ただ、視力は落ちるし、体力や集中力も衰えるなど新たな悩みは尽きませんから、下り坂で落ち着くという感じですが(笑い)。

『女性セブン』で『恋する母たち』の連載を始めたのは、ちょうど還暦を迎えた昨年1月なんです。それまで男性誌でばかり連載してきたので、女性週刊誌は初体験だったのですが、すごくおもしろい。

「妻の不倫」とか「ママ友」とか男性誌では絶対にウケないと遠慮していたテーマが描けることはとても楽しいです。還暦で生まれ変わったというか、漫画家としてリスタートを切ったような気持ちです。

『恋母』には、バリキャリママ、セレブ専業妻、シングルマザー、と多様な40代女性が登場しますが、私が大学を卒業する頃は正社員として就職できる女性はほとんど皆無で、就職したとしても結婚して寿退社が当然の感覚でした。

 男女共同参画社会なんて言葉もなく、「女なんだから」という決め台詞が飛び交っていた時代。「女なんだから早く結婚を」「妻なんだから夫を支えて当たり前」「母なんだから子育てに専念」というのがすり込まれてきた。

◆あぁ私はなんて駄目な母親なんだろう、と常に思っていた

 今でこそ、結婚しない、子供を持たないなどライフスタイルの多様化は当たり前ですが、そうではない時代に女として自分の在り方に悩み、苦しんだことも多い世代だと思います。

関連記事

トピックス

日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(時事通信フォト)
《ダルビッシュ日米通算200勝》日本ハム元監督・梨田昌孝氏が語る「唐揚げの衣を食べない」「左投げで130キロ」秘話、元コーチ・佐藤義則氏は「熱心な野球談義」を証言
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
女性セブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト