壇蜜:猛獣のミニチュアですね。そうそう、猫って突然、猛獣の部分が顔を出しますよね。『よく獲たり』は外飼いの猫の野生感がとてもよく出ています。「キミ、随分大きなネズミを捕まえたね!」って。先日、家で白菜を切っていたら猫に持っていかれて、いまだに見つかりません。実家では猫がさらっていったローストビーフがソファの下からミイラになって出てきました(笑い)。人の手には負えない飼い猫の一面が、彫刻で生き生きと表現されています。
山下:猫たちがちょっと緊張している姿や、リラックスしている姿など、作り分けもうまい。猫たちに囲まれて創作活動に没頭しながら、温室では蘭を育てて、庭には池もあって。芸術家として幸せな生涯を送った人だと思います。
●山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻・小学館刊)の監修を務める。笑いを交えた親しみやすい語り口と鋭い視点で日本美術を応援する。
●壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。2010年芸能界デビュー。グラビア、執筆、芝居、バラエティなど、幅広い分野で活躍。近著に『男と女の理不尽な愉しみ』(林真理子と共著・集英社)、『噂は噂 壇蜜日記4』(文春文庫)。9月公開予定映画『食べる女』(東映)に出演。
【朝倉彫塑館】
明治・大正・昭和に渡って活躍した彫塑家・朝倉文夫の自宅兼アトリエ。建物は国の有形文化財で、敷地全体が国の名勝に指定されている。
・住所/東京都台東区谷中7-18-10
・開館時間/9時半~16時半(入館は16時まで)
・休館日/月曜・木曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替えなどによる臨時休館あり
・入館料/一般500円(20人以上の団体は300円)
※入館時は靴下着用
◆撮影/太田真三、取材・文/渡部美也
※週刊ポスト2018年4月6日号