ライフ

難病ALSの抑制に高用量メコバラミン製剤の治験開始

難病ALSの治療法を医師が解説

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は脳や脊髄からの命令を筋肉に伝える役割を担う運動神経細胞(運動ニューロン)が、様々な原因で障害されることで脳からの信号が筋肉に伝わらなくなる病気だ。

 筋肉がピクピクして次第に痩せ、思い通りに動作できなくなる。症状が進むと呼吸筋も弱くなり、人工呼吸器を付けないと呼吸ができなくなり、通常発症後3年から6年で死に至る。運動機能は低下するが、知覚神経は障害されないため、痛みや温冷などの知覚は残っている。国内の患者は約1万人で、年間2000人が新たに発症する。

 徳島大学大学院医歯薬学研究部医科学部門内科系臨床神経科学分野(神経内科)の梶龍兒教授に話を聞いた。

「ALSの治療薬開発は、これまで100種以上の治験が行なわれてきましたが、今のところ、薬として承認されているのはリルゾールとエダラボンの2種類だけです。私どもは昨年11月から医師主導で、高用量メコバラミン製剤のALSに対する第III相試験を行なっています」

 メコバラミンは活性型のビタミンB12で、日本では1回0.5ミリグラムの用量で末梢神経障害などの治療薬として保険承認されている。今回の臨床試験は、その100倍にあたる50ミリグラムのメコバラミン製剤を週に2回、筋肉注射してALSの進行の抑制効果を診る。

 この臨床試験に先立つ研究として1998年に梶教授は少人数のALS患者に、通常量と高用量のメコバラミン製剤を3か月投与、高用量群で進行が抑制されるという結果を得た。それを受け、メコバラミン製剤のメーカーであるエーザイがその後、10年かけて大規模な臨床試験を実施したが、プラセボ(治療効果のない薬)と実薬の有意差が得られなかった。しかし、データの中から発症後1年以内の患者を対象として部分解析をした結果、人工呼吸器装着までの期間を600日以上も延ばせることが示唆された。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
チームを引っ張るドミニカ人留学生のエミールとユニオール(筆者撮影、以下同)
春の栃木大会「幸福の科学学園」がベスト8入り 元中日監督・森繁和氏の計らいで来日したドミニカ出身部員は「もともとクリスチャンだが幸福の科学のことも学んでいる」と語る
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン