「陛下はお若い頃、チチブと、その近縁種であるナガノゴリ、ヌマチチブの泳ぎ方に違いがあることにお気づきになり、それが“うきぶくろの違い”によるものだと分析されました。当時は今のような撮影技術がなかったので、陛下はレントゲン撮影をもとにうきぶくろの比率を割り出すなど、苦労を重ねてデータを算出されていた。図鑑では陛下のアイデアをもとに、その違いを写真で示すことができたのです」(中坊氏)
図鑑を届ける際に同席した版元の北川吉隆・担当編集も「まさか天皇陛下にご執筆いただけるとは思ってもみませんでした。光栄の極みです」と語る。ハゼに向き合う姿はまさに「一学者」だったのだ。
※週刊ポスト2018年4月27日号