「担任の先生は、もう10年以上も講師を続けているというベテランだったので安心していたのですが、勉強についていけない子どもを平気で放っておいたり、子ども同士のケンカも見て見ぬフリをしたりと、どうやら親身な指導をしていないようなんです。
そうしたクラス内の問題を学年主任など他の先生に相談もしていないようですし……。どうせ1年だけだからと、いい加減な指導をしているのだとしたら許せません」
この母親がいうように、常勤講師の任期は地方公務員法に基づき、事実上1年となっている。中には特例的に同じ学校で再任用されるケースもあるが、みな1年以内で一旦契約が終了。引き続き講師の要請があれば、違う学校に移って新契約を結び、また1年間講師を続けるという繰り返しが一般的だ。
「講師は次年度に再任されるかどうか分からないため、正規職員のようにある程度長いスパンでの指導や取り組みができません。また、同じ学校での再任用の権限は実質的に配属先の校長や市町村教育委員会などが握っているため、マイナス評価につながるようなことを嫌う傾向があります。
そのため、いじめや不登校などの問題が発生しても、報告したり相談したりすることができず、結果、事態が悪化するケースはよくあります」(前出・斎藤氏)
もちろん、子どもが大好きで熱血指導をモットーに教壇に立ち続ける常勤講師もたくさんいる。だが、制度上の問題で、どうしてもその場しのぎや場当たり主義が蔓延してしまうのだという。
また、常勤講師のモチベーションが上がらないのは、正規職員との賃金格差の理由も大きい。