「フルタイムの常勤講師の給与は正規職員に準じるのが原則ですが、多くの都道府県が昇給に“上限”を設定しており、正規職員と同じ仕事をしているにもかかわらず、給与水準はボーナスを含めると正規職員よりはるかに低いのが現状です」(斎藤氏)
ある自治体では、正規職員が40代にもなれば給料月額は標準で40万円前後まで上がるが、同じ年代、キャリアでも常勤講師は20数万円という低水準。しかも、講師の場合は10~15年勤務しても30万円程度で昇給がストップし、頭打ちになる自治体が多いという。
さらに、前述のように講師は年度末に一度雇用契約を解除され、数日間のブランクを経て新年度に再び任用されるケースが多いため、退職金支給の対象とならないばかりか、勤続年数もカウントされないので賞与も“寸志”。生活が苦しく、アルバイトをしたり、中には生活保護を受給している講師の実態もこれまで報告されている。
「国は非正規雇用の環境改善や同一労働同一賃金などを掲げていますが、それは民間企業だけでなく公務員でも同じこと。非正規公務員はブラックのかたまりともいえます。
特に教員は、資質の向上を求める一方で、正規採用を抑えながら、人件費が安くていつでも解雇できるという理由で非正規教員を増やしているのは大きな問題です。結局、そのツケは子どもたちに回ってくるのです」(斎藤氏)
学校教員の過酷な労働環境は度々話題にのぼるが、正規・非正規の区別なく、学校や保護者などから評価の高い教員の待遇を上げるような策を真剣に考えなければ、教育現場はますます疲弊していく一方だろう。