欧州カーオブザイヤーに輝いたボルボ「XC40」
ボルボとジャガー(ランドローバー)とマツダは、相次いで経営不振に陥り、1990年代にフォードの傘下に収まっていたのです。そしてマツダは、フォードのために大量にエンジンを提供することで経営を安定化します。ボルボやジャガーは、フォードの技術や資金を使って新型車を開発していました。大フォードの庇護のもと、3ブランドは安定を得ます。
しかし、2008年にリーマンショックが発生。アメリカの自動車メーカーは大打撃を受けます。GMは国有化され、クライスラーはフィアット傘下に。フォードも被害が及びますが、ボルボやジャガー・ランドローバー、マツダの株式を手放すことで九死に一生を得ることに成功しました。
放出されたボルボは中国のジーリー、ジャガー&ランドローバーはインドのタタが買収しました。マツダは独立です。
フォードの庇護から放り出されたボルボ、ジャガー・ランドローバー、マツダ。その前途には誰もが不安を持ちました。実際にマツダの2008年度の決算は大赤字。ジャガー&ランドローバーやボルボは、お金はあるけれど技術のない中華資本とインド資本への売却です。将来性が懸念されました。
しかし、そこからの3ブランドの動きは見事なものでした。
マツダは次世代技術「スカイアクティブ」を発表し、「第6世代商品群」と呼ぶ、新世代モデルをリリース。これが高い評価を得ます。
「もともと世界シェア2%なのだから、20%や40%といった大きなところを狙わずに、シェア5%を目指す。そのために個性的な存在になる」という、開き直りにも似たスタンスが奏功するのです。
また、ジャガー&ランドローバーも、「英国ブランド」という部分を強調することで、ドイツ勢が跋扈するプレミアム・クラスでの存在感を増します。世界的なSUVブームに「Fペイス」を投入するなど、タイミングもばっちり。
同じようにボルボも「安全性の高さ」といった従来からある価値だけでなく、「若々しくスタイリッシュ」といったイメージを付加することに成功。新型の「XC60」や「XC40」の評価の高さは、そうした独自路線への傾倒が生み出したものと言えるでしょう。