ビジネス

煙を気にせず室内焼肉を楽しめる大ヒットグリル開発秘話

煙を抑えたカセットガススモークレス焼肉グリル『やきまる』

 今日は自宅で焼肉! ファミリー層に大人気のメニューだが、煙が大量に発生し、室内が脂っぽくなったり、ニオイがついたりすることが気になると悩む主婦も多いだろう。そんな中、岩谷産業から登場したのが、煙を出さないカセットガス スモークレス焼肉グリル『やきまる』(連続燃焼時間/約217分。使用ガス/イワタニカセットガス。オープン価格 実勢価格約7000円)だ。

『やきまる』は、肉を焼いても煙の発生を抑え、室内でも手軽に焼肉が楽しめるという。

 1930年創業以来、さまざまなカセットガスコンロを生み出してきた岩谷産業。1980年には焼肉専用のカセットボンベ式グリルを商品化していた。開発担当の福士拡憲さんは、2010年に、「室内でも煙を気にせず焼肉をおいしく食べられないか?」という思いがわき起こっていたという。その想いを温めつつ、2014年に『やきまる』の開発が始まった。

 どうしたら煙の発生を抑えることができるのか。福士さんが注目したのは、肉を焼く温度だった。肉を焼く温度が約250℃を超えると煙が出やすくなる。

 一方、約210℃以下では肉の旨みが出ないのだ。つまり煙を極力抑え、肉をおいしく焼き上げるには、プレート面の温度を210~250℃にキープする必要があった。しかし、直火式のカセットコンロでは温度制御は難しい。

 何とか温度をコントロールできないか…。試行錯誤の末、バーナーとプレートの距離と火力の関係に着目した。バーナーとプレートの間を離し、そこに熱がこもる構造にすることで、プレートの表面温度を適温にコントロールできることがわかったのだ。プレートにも細かな工夫が施された。

 煙の発生源は肉の脂だ。脂がプレートに滞留すると、焦げて煙が出やすくなってしまう。そのため、プレートの表面にある溝をスリットとつなげ、脂の通り道を作った。

 プレート裏面には高さ約7mmの壁を作り、火に直接落ちる脂をブロック。さらに、4か所に突起を付けることにより、プレートと水皿の間に隙間をあけ、脂を効率的に下へ落とす仕組みにした。これで、煙を最小限に抑えることに成功したのだ。もちろん、肉もおいしく焼ける。

 2016年8月29日、「焼肉の日」に発売すると、「煙の出にくい焼肉グリル」は、口コミで一気に広がった。この話題を、煙に悩む主婦層も見逃さなかった。初年度から年間販売目標台数の3万台を遙かに超え、約20万台(2017年12月末まで)を突破する大ヒット商品となった。

 主婦層を中心に、ホームパーティーに使えると若年層からも人気を集め、幅広い層に支持されているという。

 肉はもちろん、野菜や魚介類なども焼くことができ、家でもバーベキュー気分が味わえる『やきまる』。1台あれば、焼肉を楽しむ日が増えるだろう。

※女性セブン2018年5月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト