国内

英語や道徳をどう教えるか──教育現場から悲鳴聞こえる

指導内容の大改革に教育現場から悲鳴(撮影/アフロ)

 学習指導要領改訂により、小学校ではこの春から道徳が「教科」になった。2020年度には英語が正式な教科となり、プログラミング教育も導入される。

 これからを生きる子供たちのための教育改革──そういわれると、「もっともだ!」という気持ちにもなるが、疑問や課題がある。加えて、教える先生たちからは、こんな声も聞こえてくる。

「道徳や外国語が教科になるということは単純に授業数が増えるということ。今でさえ、目一杯ですが、学年によっては6時間目を増設したり、土曜日にも授業をしないととても間に合いません」(教員歴32年目・55才女性)

「新授業に期待されることはわかりますが、英語や道徳をどう教えたらいいのか…。教員免許をとるときには必要のなかったスキルです」(教員歴29年目・51才男性)

 中学・高校とは異なり、小学校では国語も算数も社会も理科も体育も、基本的には担任が指導することになっている。

「多くの小学校教師にとっては英語やプログラミングなどこれまで全く重要視されてこなかった分野の力量は不安があります。文科省は、英語専門の教員を雇おうと思案していますが、全国に約2万ある小学校に対して、今年度はたったの1000人分しか予算はつきませんでした」(教育研究家で文部科学省・学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さん)

「何をどう教えるのか、きっちりとモデルケースを作って、研修会などを通して指導スキルを高める必要があります」(早稲田大学教職大学院客員教授・開智国際大学教育学部准教授の遠藤真司さん)

 また、“働き方改革”が必要とされる社会に逆行するかのように、教員には負担が増えることも心配される。

「1人の先生が約10種類もの教科を担当するわけですから、授業数も多いし、準備も大変です。会議や宿題チェック、児童や保護者の相談にのるなど、先生の仕事は挙げればキリがありません。一日中トイレにも行けないことも珍しくない。そんな中で、新たな授業が増え、しかも従来の教科でも主体性や創造性、対話性などを高める授業が求められる。そんな精神的余裕と時間が果たして現場にあるでしょうか」(妹尾さん)

 授業改革はたしかに必要。ただし、それと同時に、“教え方改革”にも期待したい。

※女性セブン2018年5月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン