国内

努力したが子を授からず諦めた人達、深い傷抱える割合が多い

日本では約6組中1組が不妊で悩んでいる(イラスト/やのひろこ)

 大人ライフプロデューサーのくどうみやこさんの著書『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』(主婦の友社)が、ネットで話題になっている。100人以上の子供のいない女性に直接取材をしたくどうさんに話を聞いた。

 子供を産まなかった経緯は人それぞれだが、最も深い傷を抱えている割合が多いのが、「努力したが授からず諦めた」人たちだ。日本では約6組中1組が不妊で悩んでおり、不妊の検査や治療経験のある夫婦は2割近くもいるという。

 その中には、子供を産めなかったことに気持ちの整理がつかず、苦しみを抱えている人の割合が多いとくどうさんは考えている。

「体外受精で2度の妊娠反応は出たが流れてしまい、3年で諦めた」(45才・会社員)、「45才まで足かけ5年、親の援助もあり約1000万円かけたが、結果はでなかった」(50才・公務員)というように、不妊治療の平均は、約2年で140万円程度といわれているが、高齢になるほど可能性は下がり、費用はかさむ。

 不妊治療の技術は年々向上し、有名人が40~50代で出産したニュースが取り上げられることもあり、成功例が多いように感じる。だが、35才でも不妊治療を受けて妊娠した人は約24%で、出産したのは約20%。45才になると妊娠した人は2.8%で、体外で受精させて子宮内に戻す胚移植(ET)では6.9%いるが、出産した人は0.9%まで落ち込む。成功するのは奇跡に近い。

「可能性がゼロではないからと、不妊治療のやめ時を見失い、体も心もボロボロになってしまう人もいます。不妊治療がうまくいかないと友人に相談すると、評判のいい医療機関を紹介され、ここに行ってみたらと安易に言われる。彼女たちに必要なのは、いたわりや心遣いであって、先端医療の情報ではないのです」(くどうさん・以下同)

 子供ができなかったことが傷として残っていれば、小さな子供がいそうなファミレスやフードコートに出掛けるのもつらく、年賀状の子供の写真を見て落ち込む人もいる。

「“子育てが大変だ”と言われると“子育ての楽しみがわからない”と言われている気がする。“子供がいなくて気楽ね”と言われれば“いないなんてかわいそう”と聞こえるなどと、裏読みをしてしまい落ち込むことが多いと訴えた人もいます。

 ですが、それを聞いたアラフィフ女性が、『あら、私ってそんなふうに思われていたのかしら? 本気で羨ましがられていると思っていたのに~』と、明るく笑い飛ばしたのを見て、その彼女は、気にしすぎだと気づき、吹っ切れたようでした」

 子供がいない人生になった経緯を、いつまでも思い悩むのではなく、まず、思いを吐き出すこと。そして、いろいろな人の話を聞けば、活路が開ける。

※女性セブン2018年5月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト