最寄駅から近く、天候に左右されず、手ぶらでお参りできる。掃除も不要。外墓に比べて安価。そうした供給側が“売り”に押し出すポイントをストレートに共感しているのだ。もっとも、冒頭に記したように、目黒御廟で高価なタイプの売れ行きが好調なのは、「安価」をさしひいても納骨堂を選ぶ層の増加兆候なのかもしれない。
「1世帯か2世帯用で十分という“核家族化”と、“郊外の一戸建て”から“都心のマンションへ”。住宅や家族を取り巻いてきた現象が、お墓にも波及したのです。実際の施設は玉石混交ですが」と、葬送ジャーナリストの塚本優さんは話す。
【プロフィール】井上理津子●1955年、奈良市生まれ。大阪のタウン誌『女性とくらし』編集部勤務後、フリー。人物インタビューやルポを中心に活動中。著書に『さいごの色街 飛田』、『葬送の仕事師たち』(いずれも新潮文庫)、『親を送る』(集英社インターナショナル)、『旅情酒場をゆく』(ちくま文庫)など。
※SAPIO2018年5・6月号