トレードで近鉄に来た鈴木康二朗さんも乱闘になると人が変わる1人。ブルペンから猛ダッシュして参加していましたが、なんと引退の原因も乱闘でした。相手を殴ろうとしたが空振りして、それで右ヒジが伸びてそのまま引退です。当時はそんな大立ち回りがしょっちゅうでした。
特に近鉄・西武戦は乱闘の黄金カード。近鉄はチームぐるみでライバル意識を抱いていて、「あの常勝球団を倒したる」という前のめりのテンションで試合に臨んでいました。デービスが東尾(修)さんに右ストレートをお見舞いした有名な乱闘のほか、僕の入団1年目には、オープン戦なのに、田淵幸一さんへの死球がきっかけで乱闘になりかけたこともあります。
何度思い出しても、今では想像もつかないノスタルジックな世界です。でもあの頃のパ・リーグにしかない、「昭和の良さ」があったように思いますね。
【プロフィール】かねむら・よしあき/1963年兵庫県生まれ。1981年報徳学園のエースとして夏の甲子園優勝。同年ドラフト1位で近鉄入団。中日、西武を経て1999年現役引退。野球解説者として活躍中。
※週刊ポスト2018年6月1日号