ジョッキーにこれを言われると、陣営としては腕を組んで首を傾げてしまう。
こちらは(ファンの方々も)客観的にレースを見守っているわけですが、鞍上は人馬一体のはず。どんなレースになったとしても、きちんと敗因の把握をしてもらわなくてはいけません。
「わからない」というコメントは、深読みをすれば、「この馬は自分には乗りこなせません」ともとれる。そんなジョッキーには、次のチャンスを与えることが難しくなります。
鞍上ならば勝てなかった原因が何かしらわかるはずです。たしかに、「仕掛けのタイミングが遅れた。私の不徳の致すところ。まだまだです」なんて潔いコメントはメディア相手にはしにくいでしょう。それでも、ジョッキーはなんとかコメントをひねり出すものです。「直線までの手応えは悪くなかったけど、脚が止まってしまった」などなど。馬がしゃべれない分、人間が言葉を補ってやらなくてはいけない。ジョッキーには感情移入の能力と、当意即妙のコメント力が必要です。
競馬コメントの根底には、「馬のことを悪く言いたくない。なにかしら長所を見つけたい」という思いがあります。それを考えると、「わからない」は突き放しているようだし、「ショックです」は同じ馬相手では巻き返しが難しいという印象です。