日の丸シューズメーカーの筆頭であるアシックスが、オリンピック・パラリンピックを機に、さらにどう世界へ向けてプレゼンスを上げられるかも興味深い。
売り上げ規模でいえば、ナイキが邦貨換算で3兆円台、続くドイツのアディダスが2兆円台で、この2強を追う3位グループが米国のアンダーアーマーやニューバランス、ドイツのプーマ、それに日本のアシックスとなっている。
一般的な消費者のイメージでは、「ナイキはファッション性が強い商品、アディダスはサッカーシューズに強いといった印象」(シニア世代の会社員)だが、アシックスも訪日外国人に人気の高級カジュアルを司る「オニツカタイガー」、スポーツカジュアルの「アシックスタイガー」など複数のブランドを擁して海外の列強に挑む。
もう1つ、アシックスはビジネスマン向けのウォーキングシューズで、「ペダラ」シリーズが健闘しているのだが、アシックスというと陸上競技用シューズのイメージが強く、課題としてきたアパレル分野では今後、M&Aも含めた大きな飛躍が求められる。
経営的には「AACD」(順に米国市場、アパレル、中国市場、デジタル対応の強化)という表現で重点分野や課題を掲げているが、1社あたり150億円とも目されるゴールドスポンサーの投資に対し、アシックスとしてはこれからどのようにして、その費用対効果を最大化していくのか。まずは、来年発売するという前述の画期的なランニングシューズと、アスリート向けのスパイクピンのないスプリントシューズの完成度に注目だ。
●文/河野圭祐(ジャーナリスト)