国立健康・栄養研究所食品保健機能研究部の担当者が説明する。

「国内外の研究者が健康食品の素材や成分を調査した結果や論文を改めて精査し、科学的なエビデンスの裏付けがあると判断したものだけをデータベースに掲載しています。例えば論文であれば、査読(専門家による評価・検証)のあるものが前提です」

 世界中の研究を取捨選択し、科学的に有効なものだけを抽出する。客観性があり信頼のおけるデータベースに掲載された健康食品のリストは855件にも上るのだ。

 リストにはそれぞれの健康食品の素材や成分ごとに「特性」や「品質」などの説明があり、続けて「有効性」と「安全性」という項目がある。

 例えばニンニクの場合、「有効性」の欄には、〈血中脂肪を下げる効果と、老化による血管の変化を予防する〉〈経口摂取で高血圧に対して有効性が示唆されている〉との記述があり、「安全性」の欄には、〈過剰摂取により過敏な人では胃腸障害がみられたという報告がある〉〈摂取により口や胃腸の炎症、胸焼け、鼓腸(腹部の張り)、吐き気、嘔吐、下痢等が生じる可能性がある〉といった記述がある。

 薬における「添付文書」と同様の副作用情報が網羅され、具体的なリスクを把握できるのだ。しかし、このデータベースの存在は、消費者にはほとんど知られていないのが現実だ。

 食品に関する情報は、ともすると必要以上に危険性を強調し、消費者の不安を煽ることになりがちだ。しかし重要なのは、エビデンスに基づいた客観的な情報をもとに、その効果についても副作用についても、バイアスなく公平に理解しておくことだろう。

 健康食品を摂取して本当に“健康”になるためには、正しい知識が必要なのである。

※週刊ポスト2018年6月29日号

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