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「動脈硬化性腎動脈狭窄症」にステント留置の治療が再評価

動脈硬化性腎動脈狭窄症について医師が解説

 腎臓は左右1対の臓器で、血液をろ過して尿を作り、体液量の調節を担っている。腎臓の働きが低下すると体内に水が溜まり、心不全を引き起こすこともある。また腎臓は血圧に影響を与えるホルモンを活性化させる機能もある。高血圧のほとんどは加齢などによる本態性高血圧(原因不明)だが、約10%は何らかの原因がある。その原因の一つが動脈硬化性腎動脈狭窄症で、この病気は生活習慣の改善や治療を続けても十分に血圧が下がらないケースが多い。

 岸和田徳洲会病院循環器科の藤原昌彦部長に聞いた。

「動脈硬化性腎動脈狭窄症は、腹部大動脈から分かれた腎動脈が動脈硬化で狭くなる病気です。これにより血流量が減少し、腎臓内のセンサーが血圧の低下と判断し、血圧を上げる物質を活性化させます。腎動脈狭窄症を放置していると高血圧が続くだけでなく、心血管イベントリスクが高まることが知られています。また腎臓が慢性的に障害を受けるので、最終的に人工透析が必要になることもあります」

 この病気に対しては、国内でも2004年頃からカテーテル治療が行なわれるようになった。しかし、明確な治療適応が策定されなかったこともあり、医療施設によっては本来治療が必要ではない症例に治療することも少なからずあった。さらに近年、欧米で厳格な降圧剤を用いた内科治療とカテーテル治療を比較する大規模臨床試験が実施され、治療効果に差がないとの報告が発表されたこともあり、カテーテル治療の実施症例が減ってきている。

 だが、実際には効果がある症例もあるため、改めて腎動脈狭窄症に対する腎動脈ステント留置の有効性などを調査する多施設共同の前向きな観察試験が実施された。国内32施設の210例を対象としており、主な検査項目は降圧効果である。厳格な基準で行なわれた例の中で、収縮期血圧が10~15mm/Hg以上の血圧低下を維持した割合は64%だった。また腎動脈ステント留置から9か月後の外来時収縮期血圧と24時間平均収縮期血圧、および夜間と日中の収縮期血圧が、いずれも有意に低下するという結果となった。

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