国内

洋菓子作りを教える人が開業 東京・世田谷の“認知症カフェ”

ケーキ教室から発展した認知症カフェも(写真/アフロ)

“認知症カフェ”をご存じだろうか。認知症の人とその家族が孤立しないよう、お茶を囲むカフェの雰囲気で交流し、専門家から知識を得たりできる場所。そして認知症とは無縁の人も気軽に参加し、認知症を身近に知ることができる。現在、認知症カフェの数は日本全国で5000か所に迫る勢いだという。数ある認知症カフェのひとつを紹介しよう。

 地元で洋菓子作りを教えていた岩瀬はるみさんは、14年前、生徒に請われ自宅で手作りケーキを囲む集いを始めた。これが、地域の憩いの場『きままなスイーツ カフェ』、介護者が語り合う『ケアラーズカフェKIMAMA』、認知症の人と家族が集う『オレンジカフェKIMAMA』の3つものカフェを主宰するきっかけだ。

「最初は子育てママさんたちが中心の気軽な会でした。それがみんな年を重ね、親の介護の心配事が話題に。ごく自然の流れでした」(岩瀬さん)

 ケアラーズカフェには専門の傾聴ボランティアや介護経験者がスタッフとして参加。切実な悩みも安心して話せる。

「介護する側には段階があり、気を張ってやっているときにはなかなか人に話せないもの。カフェに来ても黙って座っているだけの人もいます。でもそれでいいの。おいしいケーキを食べ、自分と同じく悩みながらがんばる人の話を聞くだけでも肩の力が抜けます」(傾聴ボランティアMさん)

 岩瀬さんの長年の友人で、3年間実母を在宅介護したKさんもスタッフの1人だ。

「介護は突然始まるので戸惑いますよね。介護中、岩瀬さんによく愚痴を聞いてもらいました。今はカフェで開催する専門家の講演などを聞いて“介護中に知っていたら”と思うことしきり。こんな経験もお役に立てばと思って、毎回参加しています」(Kさん)

 参加者やスタッフから絶大の信頼を寄せられる岩瀬さんだが、介護の専門職ではない。

「相談に乗れるよう日頃から勉強しています。必要があれば介護や医療につなげるネットワークも。でも私は気楽に話せる普通のおばさんでいたいと思うのです。それでこそ地域の憩いの場でしょう?」

 岩瀬邸のリビングで話すと、介護が人生のごく普通の流れの一部と思えてくる。そんな雰囲気がKIMAMAの魅力だ。

■ケアラーズカフェKIMAMA 東京都世田谷区桜丘5-15-11(岩瀬宅)
日時:第3木曜、13:00~16:00 参加費:650円(ケーキ・飲み物付き)

※女性セブン2018年7月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン