「過去1400年間の記録を見ると、浅い海溝の南海トラフでは約100年から200年の間隔で大地震が起きています。1944年の昭和東南海地震、1946年の昭和南海地震が起きてから、すでに70年以上が経過しているので、次の大地震発生の可能性が高まってきていると考えられます」(前出・宇根さん)
政府の中央防災会議の試算では、本州から四国の南岸に被害が及ぶ南海トラフ地震による死者数は最大で32万人、経済被害は220兆3000億円にものぼるという。
◆すぐ近所でも確率が違う理由
予測地図を細かく見ていくと、同じ都道府県内でも、場所によって確率に差があることがわかる。たとえば東京では、東京駅45%、新宿駅45%なのに対し、両国駅82%、品川駅81%と倍近い。
「近い範囲でも確率に差が出る要因に、大きな揺れを起こす『断層』が近くにあるかどうかということのほか、『地盤の固さ』が大きく影響しています。地盤が軟らかいところは固いところに比べて揺れやすく、同じ地震でも震度が大きくなる確率が高くなるんです」(前出・宇根さん)
とくに揺れが激しくなりやすいのは、“標高が低く平らな場所”だという。
「一般的に、低くて平らなところは、その土地ができ上がってから時間があまり経過していないので地盤が軟らかい。例えば東京の下町などは、最近まで海だったところに川によって土砂が運ばれてきて陸地になった。荒川や隅田川の流域がそれに当たります。大阪では大阪平野も同様です。他にも、埋め立て地や干拓地も、地盤が軟らかい傾向にあり、それも確率に反映されています」(前出・宇根さん)
自分の住んでいる場所や勤務先、子供の学校が「震度6弱以上の揺れ」に見舞われる確率はどれくらいなのか。防災科学技術研究所のウェブサイトにある「J-SHIS Map」では、住所や郵便番号で検索すると、地図上で詳細な「確率」を知ることができる。ぜひ防災対策に生かしてほしい。
※女性セブン2018年7月19・26日号