◆激増のきっかけは東日本大震災

 予測を行った「地震調査委員会」のメンバーで、国土地理院地理地殻活動研究センター長の宇根寛さんが解説する。

「地図に示されている確率は、“その場所で地震が発生する確率”ではなく、“さまざまな場所で起こる地震によって、その場所が震度6弱以上揺れる確率”です。地震には、東日本大震災のように沖合の海溝を震源として起きる地震と、阪神・淡路大震災や今回の大阪北部地震のような、活断層のズレによって発生する内陸直下型の地震があります。それらが過去にどれくらいの周期で起きているのか、今は前の地震からどれだけの年数が経っているのか、そしてどんな発生の仕方をし、どんな揺れが起きるのかなどを、想定される地震ごとに考慮した上で、各地点の確率を算出しています」

 この予測地図は1年に1回のペースで発表されている。最新の確率を、2008年に公表された数字と比較すると、この10年間で確率が激増している都市がある。

 とくに顕著なのは首都圏だ。2018年版の「発生確率トップ3」で80%を超えている千葉市、横浜市、水戸市は、それぞれ2008年には27.2%、32.9%、8.3%だったので、危険度が急上昇していることがわかる。

「それらの地域で大きく確率が見直されたきっかけは、2011年3月の東日本大震災でした。あの震災の研究が進むことで、地震についての新たな知見が得られたので、地震確率の計算方法が見直されました。とくに太平洋沖の日本海溝の地震についての見方はかなり変わったといえます。

 昨年末には、北海道東部の沖合の千島海溝沿いで、過去に大津波を伴う巨大地震が繰り返し起きていたという研究結果が発表されました。それを踏まえて、北海道東部の確率は昨年よりも大幅に上昇しました」(前出・宇根さん)

「時の流れ」も確率アップにつながった。この10年の間に巨大地震が起きていなければ、当然、その分「30年以内に起こる確率」は上がる。とくに発生周期の短い地震は、発生周期の長い地震に比べて「10年経過」による上昇度は高くなる。

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