国内

「ホコリ不備」の叱責も 防衛大学校で“理不尽”を学ぶワケ

厳しい4年間を過ごした防大卒業生たち(時事通信フォト)

 西日本を襲った豪雨被害で多くの被災者の救助にあたったほか、6月18日に発生した大阪北部地震でも給水や入浴支援を実施した自衛隊。もちろん災害派遣だけではなく、いざ有事となったら国民の生命と財産を守ってくれる存在でもある。そんな全国22万人あまりの自衛隊員の幹部候補生を育てるのが、「防衛大学校」だ。

 神奈川県横須賀市──三浦半島の東京湾側、夏は海水浴客で賑わう馬堀海岸からクネクネと急な坂道を登っていったところに、その校舎はある。

 防衛大学校は、文部科学省所管の一般の「大学」とは違い、「将来、陸上・海上・航空の各自衛隊の幹部自衛官となるべき者を養成するため」に設立された防衛省所管の学校だ。

「人文・社会科学専攻」「理工学専攻」の2専攻にあわせて14の学科があり、文系・理系とも偏差値60を超える難関校である。その最大の特徴は、受験料・入学金・学費がすべて無料であること。そして、入学した段階で特別職国家公務員の身分となり、毎月11万4300円(2018年4月現在)の「学生手当」が支給されることだろう。ほかにも、年2回の「期末手当」、いわゆるボーナスが合計37万円支給される。

 その学生生活は過酷だ。全寮制で、上級生の言うことは絶対。朝6時に起床のためのラッパが鳴り響き、5分で寝具を片付け、着替えを済ませて学生舎前に整列する。6時5分、点呼。乾布摩擦を行う。6時10分~30分、清掃──という具合に、厳格なスケジュールが決められているのだ。点呼に1分でも遅れたり、清掃が行き届いていなかったりすると厳しい“指導”が待ち受けている。

 訓練課程では、1年生はカッター(複数人の手漕ぎで進む小型船)、東京湾内で約8キロの遠泳に臨む。想像を絶する体力・気力を必要とする。中には過酷な訓練に耐えきれず、退校していく学生もいる。

 防大生の生活を描いた漫画『あおざくら 防衛大学校物語』の著者・二階堂ヒカル氏は、防大の現役生やOBに取材を重ねたという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

吉村洋文・大阪府知事の政策の本質とは(時事通信フォト)
吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」
週刊ポスト
高級寿司店でトラブルが拡散されたA子さん(寿司の写真は本人SNSより)
《高級寿司店と炎上の港区女子に騒動後を直撃》「Xの通知が一生鳴り止まないんじゃないか」大将と和解後の意外な関係
NEWSポストセブン
小倉優子
小倉優子、早々の「大学留年宣言」がおいしすぎる理由 「女子大生+ママ」の二刀流は唯一無二、ゆくゆくは企業の役員の道も?
NEWSポストセブン
一時は食欲不振で食事もままならなかったという(4月、東京・清瀬市。時事通信フォト)
紀子さま“体調不良報道”でも気丈な姿、単独公務先で「こちらにどうぞ」と気さくに声かける お元気そうな様子に同行していた記者たちは驚き
週刊ポスト
現地でくばられたノアさん関連のビラ(時事通信フォト)
《人質らが証言する劣悪環境》ボーイフレンドの目の前でハマスに拐われた26歳女性の救出に成功も「体重激減」「ゴミ箱で排泄」の惨状
NEWSポストセブン
6月9日、鹿児島市内の認定こども園で、刃物のようなもので男児の首を切りつけて出血させたとして、殺人未遂容疑で逮捕された笹山なつき容疑者(21)
《鹿児島2歳児切りつけ》「見えたらいけないものが…」21歳の女性保育士が犯行前にSNSで意味深投稿 母校の高校関係者は「夢の実現目指して熱心に勉強を」
NEWSポストセブン
大学受験に向けて動き出されている悠仁さま(写真/JMPA)
悠仁さまの東大受験に暗雲、推薦枠での入学には極めて高いハードル 進学先候補に東京農業大学、玉川大学、筑波大学
週刊ポスト
中村芝翫と三田寛子
三田寛子、夫・中村芝翫と愛人の“半同棲先”に怒鳴り込んだ「絶妙タイミング」 子供たちも大事な時期だった
週刊ポスト
【全文公開】中村七之助、梨園きってのモテ男が“実家お泊り愛”の真剣交際 お相手は京都の芸妓、直撃に「ありがとうございます」
【全文公開】中村七之助、梨園きってのモテ男が“実家お泊り愛”の真剣交際 お相手は京都の芸妓、直撃に「ありがとうございます」
女性セブン
全国ライブ中の沢田研二
《ファンの声援にブチ切れ》沢田研二が「見てわからんか!」とステージ上で激怒し突っ込んだ「NGワード」
NEWSポストセブン
長所は「どこでも寝られるところ」だと分析された(4月、東京・八王子市。時事通信フォト)
愛子さま、歓迎会の翌日の朝に遅刻し「起きられませんでした」と謝罪 “時間管理”は雅子さまと共通の課題
NEWSポストセブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【悲劇の発端】瑠奈被告(30)は「女だと思ってたらおじさんだった」と怒り…母は被害者と会わないよう「組長の娘」という架空シナリオ作成 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン