芸能

一発屋はもう生まれない? 「一発屋芸人」は今やブランド化

子供からも大人気の小島よしお

「一発屋芸人」で思い浮かぶのは、ダンディ坂野(51才)、テツandトモ、小島よしお(37才)、ムーディ勝山(38才)ら、中堅からベテランの芸人ばかり。以前と比べると、一発屋芸人と呼ばれる人たちはあまり生まれていない。いったいなぜか? 突き詰めると、そこから意外な真相が見えてきた。上智大学文学部(メディア文化論)教授の碓井広義さんが分析する。

 * * *
 一発屋とは、打ち上げ花火のように一気に人気が出て、スッと消えてしまう人。原因は、飽きられる、というのが大きい。では、なぜ飽きられるのか――。一発屋芸人たちは「芸」よりも、瞬間の動きやワンフレーズを通じて「キャラクター」でインパクトを与える人が多い。芸は深めていけるから次の芸を見たいと思うけれど、キャラクターは代わり映えしないため、消費されやすい。そこが芸とキャラクターの違いという気がします。

 一発屋芸人が生まれた背景には、『エンタの神様』(日本テレビ系。2003年~2010年までレギュラー。その後、不定期放送)の影響があったように思います。『エンタの神様』とほかのお笑い番組との違いは、一人に与えられた時間が短いこと。本来、お笑い芸人が出る番組は、芸を見せるだけの十分な時間を与えられていました。だけど『エンタの神様』は尺が短いから、一発芸向きでした。その瞬間で、ウケるウケないがジャッジされたんです。そうなると、じっくり芸を見せている暇はなく、キャラクターを押し出すしかなかった。だから白塗りや奇抜な格好をして、インパクトを強くした。そんな一発芸を持つ芸人たちが受け入れられた時代だったと思います。

 それに対して、今の時代は、SNSでじわじわと人気が出るタイプの芸人が増えました。代表的なのは、ひょっこりはんさんですね。打ち上げ花火のように大きく打ち上がるわけではないけれど、小さな火が広がっていって、そのブームは次々と連鎖していく。

◇「芸」で楽しませてくれる人を求める時代に

 また、さまざまな芸人が乱立して、見る側もさまざまな選択肢がある時代において、一発打ち上げるのも難しい時代になっていると思います。『エンタの神様』の時代は、テレビが流行や人気者を生み出す力を持っていました。だけど今は、テレビを見ない人が増え、インターネットで欲しい情報をピンポイントで見つける時代。一気にブレイクすることは、そうそうありません。だから聖火リレーで火をつなげるように、「これ面白いぜ」って、口コミでだんだんと広がって、人気になっていく。

 さらに、芸で楽しませてくれる人を求める時代になったのかもしれない。『2018 上半期ブレイク芸人ランキング』(ORICON NEWS)で1位のくっきー(野性爆弾)さん、3位のみやぞん(ANZEN漫才)さん、『好きな芸人嫌いな芸人2018』(日経エンタテインメント!)で、好きな芸人ランキングで不動の首位だった明石家さんまさんを抜いて、1位になったサンドウィッチマンさんらは、キャラクターも立っているけども、ネタもよくできている。

◇消えた人はただの一発屋、残っている人は一発屋芸人

関連記事

トピックス

東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン