しかし、最近のジーユーには陰りも見え始めました。2000億円前後の巨大ブランドゆえの苦悩とでもいうべきでしょうか。売上高の伸び率も鈍化し始めていますし、黒字続きですが減益になることも珍しくなくなってきました。
2016年8月期は絶好調で売上高は1878 億円(前期比 32.7%増)、営業利益が 222 億円(同 34.8%増)と大幅な増収増益だったことに対して、翌年の2017年8月期は売上高が 1991 億円(前期比 6.0%増)、営業利益が 135 億円(同 39.0%減)と、増収でしたが伸び率は鈍化し大幅減益となってしまいました。
明らかにそれまでの急成長にブレーキがかかったといえます。もっとも、1800億円を超えたブランドがそう簡単に何百億円も増収できるはずもなく、巨大ブランドゆえの苦悩と言えますが、先日発表された2018年8月期の第3四半期決算でもそれは露わとなっています。
売上収益は1666億円(前年同期比6.4%増)、営業利益は150億円(1.7%増)と、増収増益になっていますが、3~5月の既存店売上高は前年割れ、営業利益は同20.0%の大幅な減益となっています。
また、第4四半期は、シーズン末の在庫処分が増え、粗利益率が低下、赤字幅が拡大する見込みで、下期、通期ともに減益となることを予想しているとのことで、ジーユーの停滞ぶりが如実となっています。
今回の大幅減益の原因について「トレンド商品に偏った商品構成になったことが原因としている」と報道されていますが、改めて衣料品ビジネスにおけるベーシックとトレンドのバランスの難しさが露呈したといえます。
あまりにもベーシック品が多すぎると「面白味のない店」になりますし、トレンド品が多すぎると「好き嫌いがくっきりと分かれる店」になり、大多数から支持されにくくなります。
ジーユーが2000億円ブランドまで上り詰めたのはトレンド品を重視したからで、その強みが一転して停滞原因となっているといえます。今さらベーシック品を強化したところで、既存顧客は離れますし、何よりも自社の「ユニクロ」との棲み分けも難しくなります。