ライフ

豆乳はスタバとともに日本人の食生活に完全に定着した

豆乳製造量は過去最高を更新中(写真:アフロ)

 健康的な飲料として認知されている豆乳の消費は右肩上がりで伸び続けているが、当然ながら紆余曲折もあった。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 この数年、国内でも続々と新しい植物性ミルクが発売されているが、植物性ミルクの歴史は意外と浅い。日本人にとってなじみ深い植物性ミルクと言えば豆乳だが、1970年代までは豆乳のマーケットは存在しなかった。ところが1970年代終わりに「紀文」(現在、豆乳はキッコーマンに移管)が豆乳を発売したところから日本の豆乳市場は大きく動いていく。

 豆乳に明確に光が当たり始めたのは1982(昭和57)年頃から。翌年にかけて大ブームになった。もともと飲料としての出荷はほとんどなかったところにさまざまなメーカーが参入し、いきなり10万キロリットルの生産体制に。豆腐の素材に過ぎなかった豆乳が、単体としての飲料として大注目を浴びることになる。

 もっともこの頃は、まだ質や味の均一化は難しく、数年持たずにブームは沈静化した。その後十数年もの間、豆乳は冬の時代へと突入する。

 第2次ブームが起きたのは2000年頃から。当時百花繚乱状態だったテレビの健康番組などで豆乳が取り上げられ、メディア主導での「豆乳の健康情報」が増殖した。この頃には第一次ブーム時に伸び悩みの原因となった「大豆くささ」などの味の課題もほぼ解決済みで、年々需要が伸びていく。

 大ブレイクしたのは2003年。対前年比で約2割だった伸び率が一気に6割伸び、翌04年にかけても5割という驚異的な伸び率を示した。

 この火付け役として見逃せないのは、2002年12月、スターバックスコーヒーが豆乳入りコーヒーの扱いを本格化させたこと。もともと同チェーンでは1999年から都内の一部店舗で扱っていたが、2002年には一気に120店舗以上まで拡大。翌年、この動きは他のコーヒーチェーンにも拡大し、テレビ・雑誌などのメディアで「豆乳」「ソイ」という名称を見る機会が爆発的に増え、豆乳は日本人の食生活に完全に定着することになる。

 近年でも消費は引き続き伸び続けていて、2017年の豆乳製造量は前年比8.1%増と過去最高を更新し続けている。

 現在、黎明期の豆乳ブームを彷彿とさせる伸び盛りの植物性ミルクがアーモンドミルクだ。2000年代中期まではココナッツミルクと同様、デザートを中心にごく一部で使われてきたが、2013年に豆乳大手のマルサンアイがアメリカのアーモンドミルク大手と提携し、市場が一気に活性化。

関連記事

トピックス

趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト