ところがその後、さまざまな女優やアイドル、果ては女子プロレスラーまでがヌード写真集を発表するようになっていきます。発表する時期が少し遅かったら、『KirRoyal』は他の作品に埋もれてしまっていたかもしれません。
今、こうして開いてみると、芸術を前面に押し出しながらも、陰毛が解禁された当時の表現者の高揚感が、ひしひしと伝わってくるようです。
【プロフィール】いのうえ・しょういち/1955年、京都府生まれ。京都大学工学部建築学科卒業後、同大学人文科学研究所の助手を経て、2002年に国際日本文化研究センター教授に就任。建築史を専門にする一方、美人論や日本文化論など、幅広いジャンルの著述を手掛けている。
取材・文■小野雅彦
※週刊ポスト2018年8月17・24日号