ビジネス

会社説明会で流される「残念な会社紹介動画」 その特徴は

会社紹介動画には企業の熱意とカラーが出る

 2020年卒業予定の大学生たちの事実上の就職活動が始まっている。企業側も優秀な学生を確保するため、今後、会社説明会・セミナーなどで本格的な企業PRを行っていくことになる。その際、企業側が用意する映像には学生獲得の意気込みがうかがえるケースと、そうではない「残念」なケースがあるという。『学歴フィルター』(小学館新書)の著者で就職コンサルタントの福島直樹氏が解説する。

 * * *
 企業側が会社説明会などで流す映像には、経営者が理念を語ったり、単に事業を説明したりするだけでなく、先輩社員たちが登場して現場の様子を紹介するものも多い。学生たちが入社後の仕事を想像しやすかったり、あらためて「こんな先輩社員のように働いてみたい」と志望動機を強めたりすることが期待できるからだろう。

 ただし、その手の映像は企業によってかなりの差がある。

 2019年卒業予定の大学生を主な対象とした新卒採用は、夏前に続々と内定が出て、いまは最終盤を迎えている。この時の採用活動で、大手企業の中でも特にクオリティが高い映像を制作したのが伊藤忠商事だ。

 同社食料カンパニーの部長、通称“ゴマ部長”が世界を舞台に働く姿を映している。日本で食べられるゴマの99.9%は輸入で、そのうち約半数を伊藤忠商事が扱っているという。

 映像はゴマ部長が産地である南米・パラグアイを出張で訪れた時の様子を伝えており、テレビ局が制作するドキュメンタリー作品さながらである。とてもリアリティーがあり、そして観た者に「かっこいい」と思わせる、グローバルに活躍するビジネスパーソンというイメージを効果的に伝えている。

 そして最後に「ひとりの商人、無数の使命」というメッセージが表示されて終わる。他の大手総合商社と人材獲得競争を繰り広げるなか、ライバル社よりも学生へのアピールが上手だと感じた。

 これは推測だが、資源系に強みを持つ三菱商事、三井物産に対して、食料、繊維、住生活など非資源系に強みを持つ伊藤忠商事は、どちらかというと商社のなかでは“地味”だった。2016年3月期に純利益で総合商社首位に立ったとはいえ、ライバル社に対して一歩も二歩も先んじて学生にアピールしなくては優秀な学生を他社に取られてしまうという危機意識があるのではないか。

 一方、とても残念な映像を流す企業も少なくない。先輩社員が登場するところは同じなのだが、明らかに台本が用意されていて、社員がセリフを棒読みしている。先輩社員が働いているリアルな姿は映されず、生の声も聞けない。用意されたセリフに学生は「嘘」を感じるだろう。実に多くの人気業界、人気企業でこのケースが確認できる。

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン