東京・亀戸にあるオーケー


 店名は「オーケー」。「世界中どこでも発音が同じ」という理由で、父・紋治郎氏と母・ふささんが命名した。こうして1958年6月、東京・上板橋に、オーケー1号店が誕生した。 飯田会長が語る。

「当時、スーパーマーケットは珍しく、開店当初は大変賑わいました。しかし、日が経つにつれ、だんだん閑古鳥が鳴くようになってしまった。私自身も小売業が初めてで試行錯誤の連続でした」

 それでも、いくつか新店を開くうち、少しずつ軌道に乗り始めた。だが、店舗数が20店舗ほどになった頃から運営を人に任せるようになると、成長は止まっていく。そして1986年頃、飯田会長は、立ち寄った店舗の売り場で、定価100円の商品が、たったの2円引きの98円で売られているのを見て、愕然とする。

「2円引きの商品など誰が買いたいと思うものか。これは、私が作ろうとした店ではない…!」

 60才を間近に控え、飯田会長はすぐに大改革を実行。まず、会社の基本方針を、それまでの「高品質・お買徳」から「高品質・Everyday Low Price」に集約し、普段の売価をどの競合店にも負けない売価に設定することを柱とした経営改善に取り組んだ。

 その取り組みの1つとして、取扱商品の総見直しと、思い切った仕入れ品種の絞り込みを行ったのである。

 その後オーケーは、食料品の3%相当額の値引きを実施したり、買い物袋の有料化、自動発注システムの導入など、精力的に低価格実現のための取り組みを行った。

 オネストカードやご意見カード、商品の鮮度を保つための3%値引きといった独自の店作りも、すべて飯田会長のアイディアによって生まれ、今日まで受け継がれてきたもの。改革を経て生まれた、正直で顧客をいちばんに考える真っすぐな経営が受け入れられ、急速にファンと店舗数を増やし、大躍進を遂げることとなったのだ。

※女性セブン2018年9月6日号

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