「日常生活の中でストレスの原因を一切排除するということは、現実的ではありません。 むしろ“ストレス・コーピング”といって、上手につきあう態度で臨むのがベスト。キーワードは“3つのR”。Rest(休む)Relaxation(癒し)Recreation(活性)。多少ストレスを負いつつ、介護の作業をがんばったら、まずしっかり休むこと。脳には睡眠が何よりの休息です。

 また気持ちを切り替え、緊張を緩めてくつろぎましょう。そして重要なのがレクリエーション。嫌なことを忘れるくらい楽しいことをする時間を持ちましょう。ささやかなことを短時間でよいのです。心が一瞬でもワクワク高揚することがおすすめです」

 不快臭が強烈に心にストレスを与えるように、好きな香り、心地よい香りを楽しむアロマテラピーは同じくらいのインパクトで心を癒すという。

「香りを受け身で楽しむだけより、たとえばいくつか選んでブレンドするなど、ポジディブに楽しむとより効果的。香りは個人的嗜好の影響が大きいので自分の心躍るような香りを探すとよいでしょう」

 一般的にリラックスさせるならラベンダー、元気にするのはレモンなど柑橘系の香り。これらの効果は検証済みだ。

「私の最近の研究では、ピーチの香りが脳の理知的な働きを活性化することも判明しています。“脳の理知的な働き”とは、たくさんの記憶の中から、今必要な情報を取り出す働きです」

【Profile】
杏林大学名誉教授・古賀良彦さん●精神神経科医。うつ病、睡眠障害、統合失調症などの治療・研究、食事と香りの抗加齢、抗ストレス研究の第一人者として、NPO法人日本ブレインヘルス協会理事長も務める。近著に『脳の疲れをとる本』(方丈社刊)などがある。

※女性セブン2018年9月6日号

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