ライフ

「ちっさなわしらの酒屋」と客が熱烈支持する大阪・曽根崎の店

取材した日は『角打ちの日』(7月11日)。みんなで乾杯!

 『曽根崎 松浦商店』は、大阪ステーションシティや大阪駅前ビルといった超巨大ビルがそこここに林立する梅田、曽根崎界隈にある。
 
 そんな中にあって、こちらの店は2代目店主の松浦知弘さん(44歳)が、自ら「うちみたいな狭い店、よそにはないんじゃないですかね」と言うほどで、角打ち女子などを連れて行ったら思わず、かわいいーっと叫んでしまうほどの狭さ。
 
 しかし、常連客の間では、「10人も入ったらもう身動きとれへん、ちっさな酒屋やけど、ここで飲んでるとほんわかするんよ。こんな店があるってことが大阪のええとこや思う。わしらの酒屋さん、頑張ってはるわ」、「初めてのお客さんがいても、店に入った瞬間から、袖すり合っちゃうわけですよ。すぐに仲良くなれて、おいしい酒を一緒に飲める。狭いからこそです」と、強烈に支持されている。
 
 面積は狭隘(きょうあい)でも、逆に広い心で迎えてくれるというわけ。
 
 両親(嘉弘さん・82歳、眞知子さん・76歳)が同町内にあった曽根崎公設市場で松浦商店を始めたのが昭和42年。しかし、再開発計画によって市場が閉じられることになり、3年ほど前にこの場所へ移転してきた。
 
「それまでの店は酒屋専門で、角打ちはやっていなかったんです。でも、新しい場所に移って、酒屋だけでやっていけるか不安だったし、自分としては以前からやりたいと考えてもいたんで、思い切って(角打ちを)始めたわけですよ。しかしね、店全体で4.9坪、お客さんの角打ちスペースが3坪しかない。この狭さが実は大きな心配ネタだった。ところが、それが、皆さんに愛してもらえる理由になっているみたいなんです。このあたりには、酒屋がやっている角打ちの店はないっていうのもよかったのかな」(知弘さん)
 
「お母(か)ん(眞知子さん)が店に出る水曜日には、必ず来るようにしています。話ができるだけで、ほかの日以上にほんわかできちゃうんですよね。そんな人が何人もいて、水曜日の顔が揃うと、つい1杯が2杯、2杯が…って感じになるんです」(50代、コンサルタント業)
 
「狭いのはあかんとか言う同僚を連れてきたことがあるんやけどね。今じゃ、『この店には、いらない物はない、いる物しかない。だからこその狭さなんやなあ』なんて言って、毎週来ているようです。引退したはずのお父(と)ん(嘉弘さん)や、この3月に結婚したばかりの知弘さんの奥さんも手伝っているしで、とてもいい雰囲気なのも好きみたいですわ」(50代、営業)

関連キーワード

関連記事

トピックス

渡米した小室圭氏(右)と眞子さん(写真/共同通信社)
【独占】「眞子と呼んでください…」“NYの後見人”が明かす小室夫妻の肉声 海外生活の「悩み」を吐露、圭さんから届いた「外食は避けたい」のLINE
週刊ポスト
交際が順調に進んでいるSixTONESのジェシーと綾瀬はるか
綾瀬はるか、ジェシーの会食やパーティーに出席し“誰もがうらやむ公認カップル”に 結婚は「仕事に配慮してタイミングを見計らっている状況」か
女性セブン
シューズブランド「On」の仕掛け人として知られる駒田博紀氏
大人気スニーカーブランド「On」仕掛け人経営者が“不倫&路上キス” 取材に「ひとえに私の不徳の致すところ」と認める
週刊ポスト
一家が遺体とともに過ごした“地獄の家”の全貌が明らかに(右/Facebookより)
《“地獄の家”の捜査内容》田村瑠奈被告が頭部を置いた浴室で見つかった「特殊なアイマスク」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
『べらぼう』花魁で称賛集まる小芝風花 “朝ドラ主演待望論”が消滅?その納得の理由
『べらぼう』花魁で称賛集まる小芝風花 “朝ドラ主演待望論”が消滅?その納得の理由
NEWSポストセブン
逮捕時の今村由香理容疑者(時事通信)
「お客様、実は貸金庫に忘れ物が…」三菱UFJ女性元行員・今村由香理容疑者の“バレるギリギリの隠蔽工作”の全貌【被害総額約14億円・貸金庫窃盗】
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告が浴室で被害男性を切除する一部始終が明らかに(中央/ホテルの公式サイトより)
《1時間22分の損壊動画を法廷で…》田村瑠奈被告が浴室で被害男性を切除する一部始終 遺体と自撮り、持ち上がらず「嘘でしょ…」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ジゼル・ぺリコさん(時事通信フォト)
【仏・連続レイプ事件】押収されたパソコンには半裸で眠る娘の動画が…妻には身に覚えのない子宮頸部の炎症、父親による10年間の性被害を母娘が実名顔出しで訴え続け社会現象に
NEWSポストセブン
窮地に追い込まれている中居正広
《中居正広に新たな女性アナ告発報道の裏で》トラブル発覚前に「あの子いいべ…」関心寄せた元NHKアナ 過去に女性歌手らと熱愛も本命は“ちゃんとしている人”
NEWSポストセブン
小室佳代さんの自伝エッセイに頭を抱える秋篠宮ご夫妻(撮影/JMPA)
《小室佳代さんが自伝エッセイを発売》“暴露”があっても出版を中断させることは不可能、秋篠宮家は静観するのみ 眞子さんが“GO”を出した大きな意味
女性セブン
大谷
《“第二の故郷”ロス山火事の緊急事態》大谷翔平、SNSに投稿されたキャッチボール姿は“顔まわりや脚が明らかにほっそり” 二刀流復活への準備が順調な証拠か
女性セブン
人質になっているリリーさん(欧州ユダヤ人会議のXより)
《性暴力と隣り合わせ》ハマスに監禁され続けている19歳女性…父親「中絶に間に合わない」と望まない妊娠を危惧 停戦合意で解放へ
NEWSポストセブン