このほんわかできる小さな店で、かなり熱っぽく受けているのが焼酎ハイボール。
「甘くなくて憎らしいほどにうまいんですよ。異常な熱さの今年の夏なんて、ここに来て冷えているこいつが飲めると思うと、気力も蘇りますよ。うまい酒のことならお任せください。酔わせてくれて力づけてくれる、この酒もこの店も、愛してます」(40代、自称・普通の会社員)
やっと3年になるこの時期、知弘さんは、店の方向性を模索している。
「これからの飲食展開なんですけどね。正当派角打ちとして、乾きもんと缶詰だけで押すのがいいか、うちらしい料理で勝負するか」(知弘さん)
『角打ちの日』だった7月11日のこの日、乾杯をしたくて集まっていた常連客は、みな後者に手を挙げた。
「ゆで卵を食べてもらうなら絶対に赤玉がええ」と、お母んがこだわってゆでている、「お母んの特製半熟ゆで卵」、お父んが気が向いたときだけに作る「お父んの特製肝煮」、10㎝未満のカレイの骨を油で揚げずにこしらえた「ちっこいカレイの骨せんべい」など、すでに大評判の松浦珍味がいくつもあるからだ。
「わかりました」と、2代目は力強くうなずいた。ちっさなわしらの酒屋の角打ちは、益々、充実することになるだろう。