だが、こうした動きが全国に波及するにはまだ時間を要する。今年3月、足立区立中学校で行なわれた性教育の授業で、高校の指導要領である「人工中絶」や「避妊」を教えていたことが発覚。都議会で「不適切だ」と批判が起き、都教委も「課題のある」授業と判断、学校側に改善を求めた。
学校での性教育が保守的になる中で登場したのが、民間企業による“最先端の性教育”だったというわけだ。学校と民間で性教育が二極化する今、はたして保護者はどうすべきか。教育評論家の石川幸夫氏はこういう。
「性感染症や性病、幼児への暴行が増加するなか、小学校低学年とはいえ、自分を守るための性教育というのは時代背景からいえば必要で、性教育の手法も過渡期にきています。
とはいえ、過激になればいいというわけではない。性教育の根底にあるのは生命の尊厳、命の大切さを教えることで、興味本位にさせるような教え方では逆効果。命は3億の精子の中の一つと卵巣内の20万個の卵子の中の一つが奇跡的に出会ってできた尊いものである、という事実をまずしっかり教える必要があります」
性教育は家庭での判断に委ねられる部分が多い。“まだ早い”と避けていてはいけないのかもしれないが、一方でこの「授業」に我が子や孫を参加させるには躊躇いを覚えてしまうのも仕方ないところか。
※週刊ポスト2018年9月7日号