そもそも「低糖質麺」にはさまざまなアプローチがあり、「糖質制限」に取り組むユーザーの嗜好は当ててみなければわからない。ならば、商品としてリリースして実際に客に手にとってもらいながらマーケティングを行うほうが遥かに効率的だ。「糖質OFF」という機能で健康意識の高いユーザーをつなぎ止めながら、味を改善していく。いずれの低糖質カップ麺も、初期の「β版」より麺やスープの食味は向上している。
さらに明星とエースコックのように、商品のネーミングが長く、商品名に機能的な要素が盛り込まれていることもポイントだ。低糖質カップ麺はいまだ確立されていないジャンルで、しかもトクホや機能性表示食品でもない。特にウェブにおけるPR施策としては商品名に機能を盛り込んで、検索上位を狙おうというSEO対策的な思惑もあるかもしれない。
ベータ版リリースからのアップデート、タイトルに機能を表すキーワードを盛り込んだSEO施策。いずれも「少しでも早く」「少しでもサービス向上」というIT業界のような施策である。
対する日清食品の施策は異彩を放ちつつ、堂々たるカップ麺市場王者の風格が感じられる。慣れ親しんだ、あの「カップヌードル」を彷彿とさせるパッケージとカラーリング。そこに大きく176kcalとカロリーがロゴのように描かれている。ドット絵風のロゴは従来品とは視認性も明確に異なり、間違えようのないデザインとなっている。
それにしても、最新版の完成度には恐れ入った。近年、一般的なカップ麺からは遠ざかっている身としては「こってりなのに脂質50%OFF 糖質40%OFF 178kcal」の味わいがちょうどいい。また危険なアイテムを覚えてしまった……。