メーカーの管理職、銀行マン、介護課の市職員、さらに、歌舞伎町の風俗店経営者、漁師を継いだ元技術者の女性、そして弁護士資格を持ちながらも食えなくて妻の郷里で保育士をする男性など、様々な人物が悩み、奮闘する。

 そのひとり、大場美咲(39)は大手自動車メーカー「トクダ自動車」の製造課長だった。だが、その職を突然AIに奪われる。

 美咲は、製造現場にAIロボットを積極的に導入し、劇的な人員削減を実現して、最年少製造課長として社内で高い評価を受ける働きをしていた。しかし、トクダ自動車全体がEV(電気自動車)化やカーシェア対応に出遅れ、売上が低迷し経営危機に陥った挙げ句、美咲たちを待っていたのが課長職のAI化だった。

 美咲の夫は製薬会社での激務から鬱病を患い、小学生の娘を育てながら美咲は大黒柱として一家を引っ張ってきた。高齢の美咲の父は、元はトクダ自動車の課長、今は一人暮らしで、ある日ガンを宣告されてしまう。医療現場もAI化が進み、AI診断は手術を勧めたのに対し、主治医は手術に反対した。その狭間で美咲たち家族は振り回される。

 スマホの第5世代通信システムが稼働する2030年の日本の空にはドローンが飛び、地上では自動運転車が走るが、その道路は老朽化し、橋は通行止めが増え、水道管の破裂も珍しくないアンバランスな社会になっていた。

 トクダ自動車を辞めた美咲に、急成長するモーター製造企業「倉持モーター製作所」を紹介したのはかつての上司だった。20世紀が「エンジンの時代」なら、21世紀に入りAI時代は「モーターの時代」になっていた。エアコンなどの家電から、電気自動車、ドローンまであらゆるところでモーターが活躍。倉持モーター製作所は世界中に生産工場を有する日本トップレベルの企業だ。

 そして、美咲に与えられたポストは名古屋工場の工場長だった。だが、入社3か月にある重要プロジェクトを社長から命じられ、「もし、このプロジェクトが失敗したら、あなたには辞めてもらいます」と告げられた。AI時代を逞しく生き抜こうとする美咲の戦いの先には何が待っているのか?

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