現代史家の秦郁彦氏

 昭和天皇が必ずしも占領軍の言いなりにはならない姿勢を最初に示したのは、昭和21年のいわゆる「人間宣言」だ。現人神であることを否定する原案を見た天皇は「自分が神だと思ったことは一度もないのに」と難色を示したが、首相の幣原喜重郎に海外諸国の誤認を正すためですと説得されて受け入れた。しかしその代わりに条件をつけた。宣言の冒頭に「五か条の御誓文」を入れることである。

 終戦と同時に、占領軍はアメリカ型の民主主義を日本に持ち込んだ。だが、それ以前の日本が民主主義を知らない野蛮な国だったわけではない。明治維新以降に日本型の民主主義があった。その基盤になったのが「万機公論に決すべし」とした五か条の御誓文にほかならない。昭和天皇はそれを示すことで、占領軍に毅然として立ち向かう姿勢を見せたのだろう。私には、それが一種のレジスタンスだったように見える。

【PROFILE】1932年、山口県生まれ。東京大学法学部卒業。現代史家として慰安婦強制連行説や南京事件20万人説などを調査により覆す。著作に『昭和天皇五つの決断』『慰安婦問題の決算』『実証史学への道』など。

●取材・構成/岡田仁志(フリーライター)

※SAPIO2018年9・10月号

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