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佐藤優×片山杜秀対談 ファシズムは官僚制と相性がいい

ヒトラーに随行する親衛隊長ヒムラー(左) 共同通信社

 官僚たちが世間を賑わす事件が相次いでいる。高度経済成長の立役者と言われた官僚機構はなぜ崩壊したのか。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏と思想史研究者・慶應大学教授の片山杜秀氏が語り合った。

片山:ファシズム体制だった戦前の日本もドイツもイタリアも国を束ねるために様々な仕掛けを準備しました。ファシズムの原義は、束ねること。日本の場合は、天皇が持つ神話と伝統を持ち出して、国民を一つに束ねようとしました。

佐藤:国を束ねる実務を担ったのが官僚です。ファシズムは官僚制ととても相性がいい。ファシズムでは、人間は群れをつくる動物であり、集団には群れを率いるエリートが必要だと考える。そのエリートが高級官僚だというわけです。

片山:それはナチスドイツを例にとると分かりやすいですね。ドイツではヒトラーの側近のナチ党員が、落下傘的に国家や州の官僚機構に入って支配した。顕著な例はナチ党の私軍である親衛隊と国家の警察機構である秘密警察ゲシュタポの両方を統率したハインリッヒ・ヒムラーでしょう。

佐藤:彼らは独裁者の登場とともに独裁者の意向に沿って実務を行う側近としてあらわれた。彼ら側近たちは、試験に合格した一般の官僚に対して、権力者との距離の近さで選ばれ出世したため、第二官僚と位置付けることができます。

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