大麻草を煮詰めて麻薬成分を抽出したものや、大麻草に強い熱を加えて陶酔成分だけ蒸留させ抽出したものなど、液体大麻の製法はいくつかあるようだが、いずれも加熱して蒸気を発生させ、それを吸い込んで使用する。加熱に電子タバコでも使われるヴェポライザーを使うのが、いまどきの流儀らしい。もちろん、たとえ液体であっても、日本の法律では所持が禁止されている。彼らは、どこで液体大麻を入手しているのか。

 集まっている店で入手ができるのかと、いうと、「電子タバコを扱っている店だから、警察からも目を付けられやすい」から販売は決してしないのだという。別の常連客は「ネットで買えますよ」と明かしてくれた。

「地域掲示板やオークションでも買えますし、ネットの匿名化ソフトを使ってしか入れない掲示板上で簡単に売買できる。単価は乾燥大麻より少し高いくらいですが、効き目が段違い(に高い)ので、少量でキマれる」

 大麻や覚せい剤などと同様に、非合法品は表での取引ができない分、売買価格も高価になりがちだ。だが液体大麻も決して安くはない。それでも愛用するのはなぜなのか。

「普通の草(乾燥大麻)も耐性が付く。だから、海外のブランド物の草(大麻)とかいろいろ試すんですけどね、大麻リキッドは本当に(効能が)強い。(大麻)仲間にもリキッドを勧めますけど、みんな普通の草よりいいって言う。これから超流行るでしょうけど、だんだん偽物も多くなってきている」(前出の常連客)

 使用量に対する金額としては、乾燥大麻より割安ということだ。特にヘビーなユーザーが「液体大麻」にハマる理由もそこで、とにかく「キマり方」が強いのは、乾燥大麻の陶酔成分が濃縮されているから。捜査当局はこの「効能の高さ」こそが危険であると指摘しているが、愛好者らの感覚は真逆。「よくキマる」ものこそ「良いもの」という認識だ。

 諸外国では合法、などと言っても、さらにそれが液体であっても大麻は大麻。日本では所持することが許されない代物だ。所持や使用について大変なリスクがあることも承知しているのだろうか。もし、液体大麻のために集まっているところへ警察がきたら、どうするつもりなのか常連客に質問した。

「警察が来たら? 急いで全部便所に流しちゃうよね(笑)。飲んじゃってもいいかも。大麻取締法ってワケわかんないのよ。所持はダメだけど、使用はいいの(※吸引そのものは罰則付きの禁止にはなっていない)。でも吸うためには手に持たないとダメじゃん? 人に大麻持ってもらって吸うのはいいのか? でも唇についちゃった時点で所持になんのか……。ま、どうでもいいんだけど……」

 違法薬物の常習者は誰もが、自分が罪を問われることはあり得ないという根拠のない自信にあふれている。筆者が問うた雑貨店店主も、常連客も同じだった。そして、彼らはリスクも承知、違法行為をやっている自覚もある。でもやめないし、そもそも法律がおかしいという自分勝手な理屈だ。

 とはいえ、彼らにやましい気持ちがないわけではない。後ろめたさを消すためなのか、液体大麻を吸うためのパイプ(ヴェポライザー)や周辺器具はデザイン性にも富んでおり実にファッショナブルだ。パイプを複数所有したり、自宅に並べる愛好者も多いが、違法薬物はいつも「ファッション性」を身にまとう。危険ドラッグを取材したときもそうだったが、所有感を満たすおしゃれな外装によって、使用者の罪悪感を消す作用もあるのかもしれない。

 諸外国がどうであれ、我が国では違法。中毒にならないなどと気軽に言うが、精神的な依存症を引き起こす危険性は決して低くない。そんな違法薬物を、あれこれ理由をつけて使用すること自体が、すでに「おかしい」と思わないといけないはずだが、彼らにそのような「当たり前」の思考はないのだ。

関連記事

トピックス

お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
TikTokをはじめとしたSNSで生まれた「横揺れダンス」が流行中(TikTokより/右の写真はサンプルです)
「『外でやるな』と怒ったらマンションでドタバタ…」“横揺れダンス”ブームに小学校教員と保護者が本音《ピチピチパンツで飛び跳ねる》
NEWSポストセブン
台湾有事を巡る高市早苗首相の発言から緊張感が高まり続けている(時事通信フォト)
《台湾有事のゼロ日目は始まっているのか》米・シンクタンクが想定する3つの“開戦シナリオ” 防衛族の与党重鎮は「中国側に開戦の口実を与えてしまった」と憂慮
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン