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遠距離介護する男性、介護は親のためではなく自分のため

“自分のための介護スタイル”を選択した工藤さん

 認知症があると、服薬管理や出先での迷子も心配だ。自身も母親の介護に当たっており、深刻になりがちな介護を“しれっと”こなすアイディアをブログなどで発信する“くどひろ”さんこと工藤広伸さんが考える、別居介護で押さえるべき点とは?

「母は、幸い薬は自分でのめるのですが、今日が何日かがわからなくなります。そこで、アナログカレンダーの下に日付、時間、曜日、温度・湿度がデジタル数字と文字で表示される電波時計を設置、今日が何日かひと目でわかり、薬袋に印字された日付を確かめてのむことができます。また、カレンダーに書き込まれた予定をこなすことができます。

 さらに、迷子対策としてGPSを装着すれば、家族の心配も軽減できます。脳や体の機能が衰えても、よく観察して足りないところを少し助けるだけで、スムーズにこなせることもある。親が自力で生活できる部分を少しでも生かせば、結果、介護する子供も楽で幸せです」

 工藤さんは、自身の介護経験からさらにこう語る。

「遠距離介護はそれまで長年、同じ岩手県内に住む妹が仕事や子育てをしながら祖母や母を見てくれたのを、私が交替する形で始まりました。

 介護はどうしても必要。しかし、東京での自分の生活は変えたくない。それでも、ここで介護を引き受けなかったら一生後悔すると思ったので、それなら自分の人生のこととしてガッツリ取り組もうと思ったのです。よく“献身的”とか言われますけれど、親のためというより、自分のために今の遠距離介護のスタイルにしました」

 介護の困りごとを、グッズを駆使して解決しようとすれば、自ずと親の立場に立ち、寄り添うことになるともいう。

「グッズはこれからもどんどんよいものを探して、使っていきたいですね。私のまわりでもそろそろ親の介護が始まっていますが、新しい見守りグッズの情報交換などで盛り上がったりもします。もしハイテクが苦手なら、若い子供世代(孫)も巻き込むといい。前向きに行きましょう!」

 工藤さんの語る介護は心優しくクリエーティブ。そしてワクワクしておもしろそうだ。

※女性セブン2018年9月27日号

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