国際情報

アリババ総帥をネット民礼賛 プーチン氏に「私は若くない」

アリババ会長のジャック・マー氏(EPA=時事)

 大物であればあるほど引き際は大切である。その点、このアジア一の富豪の決断は早かった。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
「いま思いついた。平和条約を前提条件なしで結ぼう」

 プーチン大統領の唐突な爆弾発言に安倍首相が唖然としたことで話題となった東方経済フォーラム。翌日の日本では「北方領土問題の棚上げ提案」のニュースでもちきりとなったが、同じころ中国のネットで話題であったのは、プーチン大統領と中国の電子商取引最大手「アリババグループ」を率いるジャック・マー氏(馬雲)との会話だった。

 ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムの前座として開催された企業家会議の席で、やはり唐突にジャック・マー氏に向き直ったプーチン大統領が、「馬雲、あなたはまだそんなに若いのに、なぜ引退するんだ?」と質問をふったのだった。

 これに対して少々面食らった様子のマー氏は、「私は若くはありません。ちょうど昨日(9月10日)ロシアで54歳になったばかりです。起業して19年、まだ別にやりたいこともある。例えば、教育とか公益事業を」と答えた。

 それを聞いたプーチン大統領は、「いや、君は若い。私なんて66歳なんだから」といって笑いを誘った。

 やり取り自体にニュース性はなかったかもしれないが、ジャック・マー氏がその前日、中国の「教師の日」に合わせて一年後の引退を発表していただけにネチズンたちが反応したということだろう。

 面白かったのはニュースのコメント欄の内容だ。長々とロシアの頂点に君臨し続けるプーチン大統領とあっさり辞めるジャック・マー氏との対比が話題の中心かと思いきや、そのほとんどがジャック・マーという人の破天荒ぶりに向けられていたことだ。

「これぞ、馬雲。まったく破格だ」。「宇宙人の智商に地球人は敵わない」。なかには、「中国にはもっとたくさんのジャック・マーが必要だ」と訴える声も。いまだ一挙手一投足が注目されるジャック・マーは、やはり特別な存在なのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン