「両国系のトップは協会ナンバー2の尾車親方(元大関・琴風)で、一門の日本人横綱をなんとか延命させたいという立場。一方の阿佐ヶ谷系のトップである芝田山親方は元ガチンコ横綱で、勝てなくなった横綱は潔く速やかに退くべきとの考えがベースにあるとされている。
中途半端な状態のままでも稀勢の里に現役を続けさせたい関係者と考えが異なる芝田山親方は、“万が一”の時にスムーズにことを運びたいと考えたのではないか」(前出の担当記者)
稀勢の里の現役続行を巡って、協会内でも意見は割れているのだ。ただ、人気取りのために稀勢の里の延命を図る陣営も、綱の重みにこだわって潔い引き際を求める側も、稀勢の里が「周囲を黙らせるのに十分な結果を残せる」ということを信じられなかった点では同じだろう。
様々な思惑が交錯するなか、ガチンコ相撲を貫いた稀勢の里が白星を重ねて勝ち越したことが、救いだった。
※週刊ポスト2018年10月5日号