現在、広報部のトップは、芝田山・広報部長(元横綱・大乃国)が務める。稀勢の里と同じ二所ノ関一門の理事だ。芝田山親方は、場所前から現役続行にはっきり疑問を投げかけていた。
9月4日の二所ノ関一門の連合稽古で、一門外から出稽古にきた大関・豪栄道に3勝8敗と完敗した稀勢の里を見て、進退に言及していたのである。
〈芝田山親方は「進歩がない。(部長を務める)広報部としては万が一に傾いている」と、引退危機を予感した〉(デイリースポーツ、同5日付)
本場所でも巡業でも大歓声を浴びる唯一の日本人横綱・稀勢の里は、協会から重宝される存在だった。だからこそ、長すぎる休場にも「引退勧告」などが出なかったとされる。ただ、それを認めると横綱という最高位を軽んじることにもなる。
公の場でいち早く稀勢の里の“万が一”に言及した芝田山親方は、重いはずの「綱」の扱いに疑問を抱いていたのだろう。
◆二所ノ関一門の2派閥
稀勢の里が所属する二所一門には「両国系」と「阿佐ヶ谷系」の2派がある。