音楽の経験がものづくりに役立っていると語る寺尾社長
たとえばドラマの中で、鈴愛と律は「自然界の風」と「扇風機の風」の違いは“渦”にあることを突き止め、渦を壊そうと試行錯誤を重ねる。これはそのまま、寺尾社長が発見し、辿った道のりだ。
「実現までに何をしたか、なぜそれをしたか、技術的なプロセスはすべて脚本をチェックさせていただきました。ただ、どのようにそれを思いついたのか、の部分は、僕の体験とはけっこう違っていますね。その辺りに、ドラマ性を感じ、面白いなと思います」(寺尾社長)
例を挙げれば、律が二重構造によって扇風機の渦が壊れることに気づくシーン。ドラマでは、鈴愛が思いつきで描いた花のイメージ図とともに、フィギュアスケートを習っている花野の話がヒントになっている。エキシビションのラストで大勢のスケーターが手をつないで滑るとき、みなが同じスピードで滑らないと、つまり速い人と遅い人がいると、ラインが崩れて転んでしまう。この話から、律は二重構造を思いつくのだ。
一方、寺尾社長は、二人三脚を30人でおこなう「30人31脚」を見て、同様の原理を思いついたという。現実では寺尾社長が一人で発想・実現したアイディアを、「半分、青い。」では、律・鈴愛・花野はじめ、皆で力を合わせて生み出していく。そこにドラマのダイナミズムが生まれている。