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横山大観がこよなく愛した名旅館 熱海「大観荘」

別邸時代からの意匠・設えを残す部屋

 旅と芸術を同時に堪能できるのが名建築の宿の素晴らしさ。静岡県熱海市の「大観荘」は、茶室、料亭、旅館に数多くの名建築を残した平田雅哉が手がけた名旅館だ。これまで500軒超の名建築宿に泊まった紀行作家の稲葉なおと氏が案内する。

 * * *
 関西財界人・中山悦治の別邸として1940年に竣工。1949年、その建物を増改築し、旅館として開業。別邸時代に中山と懇意の画伯・横山大観が何度も逗留したことから、大観の承諾を得て館名として名付けられる。

 その後も平田棟梁は、生涯にわたって増築・改築を手がけたことから、本館、渡り廊下、各館の廊下、階段、客室を巡ることで、40代から70代の円熟期にかけての棟梁の技を鑑賞できる。

「大観荘」
・住所:静岡県熱海市林ガ丘町7-1
・チェックイン14時/チェックアウト10時30分
・料金:1泊2食付き普通室2名利用でひとり2万6934円~(税・サ込、入湯税込)

◆撮影・文/稲葉なおと

【プロフィール】いなば・なおと/紀行作家・写真家。1959年生まれ。東京工業大学建築学科卒。長編旅行記『遠い宮殿』でJTB紀行文学大賞奨励賞受賞。『0マイル』『まだ見ぬホテルへ』『匠たちの名旅館』『モデルルームをじっくり見る人ほど「欠陥マンション」をつかみやすい』など著書多数。11月5日に学士会館(東京・千代田区)にて講演「『建築家の宿』の知られざる物語」開催。

※週刊ポスト2018年10月5日号

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