だからこそ、機会があるごとに何度も、過去の歴史を学ぶ大切さをおっしゃっている。満蒙開拓の引揚者が入植した千振開拓地(栃木県那須町)に当時中学2年だった孫の眞子内親王殿下をお連れした理由もそこにあります。戦後、引揚者が日本の復興のために未開の地でどれだけ苦労されてきたか。それも結局は戦争が生んだ悲劇である。実際にその場所へ赴き、人と会い、話を聞く大切さをお伝えしたかったのでしょう。
たとえ戦争を知らなくても、経験された人と気持ちがひとつになれれば、その歴史は次の世代につながる、ということだと思います。
【PROFILE】山下晋司●1956年大阪府生まれ。関西大学卒業。23年間の宮内庁勤務の後、皇室ジャーナリストとして『皇室手帖』の編集長などを務める。BSジャパン『皇室の窓スペシャル』の監修を担当。著書に『いま知っておきたい天皇と皇室』(河出書房新社)、監修書に『美智子さま100の言葉』『美智子さま 永遠に語り継ぎたい慈愛の言葉』(宝島社)など。
●取材・構成/祓川学
※SAPIO2018年9・10月号