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橘玲×中川淳一郎 ウェブへの希望が幻滅へと変わるまで

橘:ウェブにある種の希望や期待を持った人たちが、どんどん幻滅していったのがこの10年なんじゃないでしょうか。中川さんの本で知ったのですが、Web2.0を提唱した梅田望夫さんが「日本のウェブは残念」とツイートして炎上した事件があったんですよね。

中川:あれはものすごくショッキングだったし、皆が信じたくなかった出来事だったんですよ。ただ一方で、ネットユーザーも少し可哀想だったんです。水村美苗さんというアメリカ在住の小説家・評論家が書いた『日本語が亡びるとき』という本のレビューを梅田さんが書いたんですね。この本の中身は、世界共通言語である英語っていうのを知っておかないとまずいという話なんです。

 すると、今で言うネトウヨ的な人からすると、「日本語が亡びるとは何事だ!」と。まさに橘さんの著書である、『朝日ぎらい』というタイトルだけでネット民が過敏に反応したのと同じ感じで。「何だ、この水村という売国奴は! けしからん!」という感じになっていました。梅田さんはこの本を褒めたんですね。そしたら、「梅田まで売国奴の仲間か!」ってなって、はてなブックマークでものすごく悪口を書かれまくった。それに対して梅田さんが、「はてな取締役として言う、日本のウェブは残念である」みたいなことをツイートしたら、「取締役のくせに何を言ってるんだ、アホ!」とまた罵詈雑言が殺到して、結果梅田さんはWeb2.0の伝道師だったのにウェブの悪口を言った裏切り者というレッテルを貼られてしまい、ネット上で発言するのはバカバカしいということで引っ込んでしまいました。

橘:すごく象徴的な話ですよね。(続く)

◆橘玲(たちばな・あきら):作家。1959年生まれ。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『言ってはいけない 残酷すぎる真実』『(日本人)』『80’s』など著書多数。

◆中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):ネットニュース編集者。1973年生まれ。『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』『縁の切り方 絆と孤独を考える』など著書多数。

※NEWSポストセブン(https://www.news-postseven.com/)

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