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橘玲×中川淳一郎 ウェブへの希望が幻滅へと変わるまで

橘氏の著書『朝日ぎらい』と中川氏の著書『ウェブはバカと暇人のもの』


橘:その幻想がだんだん剥がれて崩壊してくるのはいつ頃からでしょうか?

中川:2001年に会社を辞めて、12月にサイバーエージェントのメルマガの仕事を、ライターとして始めました。「みんな特派員」というメルマガのライターになったのですね。メルマガ会員が自分で取ってきたネタや写真を投稿してもらい、それをメルマガで紹介する他、編集部に取材してもらいたいことを提案してもらったりもする。編集会議でそうした提案の中からどこを取材するかを検討するのですが、とにかく読者同士がケンカばかりしている。

 メルマガでは読者投稿も紹介していたのですが、問い合わせフォームには「あんなバカの意見を取り上げて、なぜ私の意見を紹介しないんだ!」みたいなものばかり。とにかくネットというものは、文句を言いたくてたまらない人にとってのガス抜きツールなんだな、ってのが分かるようになりました。昼間走っている車が、ライトをつける運動をやっていた時期があったのですが、「後ろから煽られているみたいでムカつく」という話題を投稿してきた人がいました。そうした意見を紹介すると、今度は「あれは事故防止のためにやっているんだ、なんで『ムカつく』なんていう意見を紹介するんだ、編集部はバカか!」と言ってキレる人が続出する。とにかく何を出そうがものすごく怒られるんですよ。メルマガを開始した直後の2002年って大昔の感もあるのですが、その頃からネットは常に炎上状態でした。もちろん、これらは表には出ないコメントで運営側だけに届く問い合わせフォーム経由の“裏”に来る意見なのですが、すでに実質的な“炎上”は発生していた。

橘:それと比べると紙の雑誌ではあまり“炎上”ってないですよね。

中川:そうなんですよね。私自身、『テレビブロス』という雑誌の編集をやっていて、同時期にメルマガもやっていたのですが、ブロス編集部に寄せられるハガキは基本的には全部読んでいました。ハガキを送ってくれる人々は読者プレゼント目的ではあるものの、ブロスを好きで買っている人が、ブロスの雰囲気が好きで特集や記事が面白かったと書いてくれるわけです。

橘:そうした読者ハガキとネットの意見は全然違いますね。

中川:全然違うんですよ。ブロスを読んで、「ああ、オレが作った企画はすごく評判がいいな、嬉しいなぁ」という気持ちで次の特集作り臨んでいたのに、メルマガの企画だと「オレがやった企画がまた叩かれた、もうイヤだなぁ……」と思うことだらけでした。何しろ無料ですし、お手軽に批判のメッセージを運営に送れますからね

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